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貴史もまた…
店に着くと
一番先に
美月を探すようになっていた…
美月の姿を確認すると
『休みではなかった』と…
ホッと胸をなでおろす自分がいた…
美月の笑顔に
心が…暖かくなるのを感じていた…
今朝は
珍しく玄関先まで出てきた千代に
『最近、仕事に出かけるのが楽しそうじゃない』
と言われ…
慌てて
『今までの職場環境と全く違うからね
新鮮なんだよ』
とごまかした…
千代は
ニヤリと悪戯っぽく笑うと
『あら…
今までの配置替えでも、そんな顔見たことないんだけど…一度も…』
と突っ込まれ
『し…してたさ
母さんが気づかなかっただけだろ?』
とぶっきらぼうにこたえた…
『おおこわ…』
千代は大袈裟に肩を竦めると
『後悔のないように
男は、ここぞと言うときに踏んばらないと男じゃないわよ
はい、いってらっしゃい』
と意味ありげな笑顔で貴史を送り出した
玄関から大きな門扉までを歩きながら
『マジか…』
貴史は呟いた
登の意向で
貴史に対しての車の送迎は一切ない
貴史も
その事に対しては当然のように受け止めていた
幼い頃から
特別扱いは一切ない
それが
城ケ崎家の家訓でもある
貴史は
門扉を出ると
『ふふ…』と楽しそうに笑うと
駅への道を急いだ
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