家柄

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『どういうことですか?』 訝しげに貴史が尋ねると 『いえ… 私も、最近知ったんですよ その… 店長がラストの次の日のオープンスタッフは 必ず、若い子で… 本来…ラストスタッフがするべきクローズ業務をしていなくて… 次の日のオープンスタッフの若い子に押しつけているようなんです…』 『クローズ業務のどれを押しつけてるんです?』 『…………ほぼほぼ全部…』 『えっ……』 貴史は言葉を失った… 『伝票処理は?』 『No…』 『クリーン業務は?』 『No…』 『予約チェック…』 『No…』 『釣り銭用の両替伝票の記入……No…?』 静かに村上が頷く… 『ほぼほぼって…全部じゃないですか 確証はあるんですか?』 『私の時はやってるんですよ… 口うるさいでしょ?…私…』 思わず貴史が頷く 『それで… この間、店長が休みの時に急にシフトチェンジをして連絡できませんでしたと言う設定で 私がシフトインしたんですが… 今言った通りでして…』 『店長に言ったの?』 『もちろん! 私が言わないと思います?』 『いや…………思わない』 『言いましたよ これは酷いんじゃないかって…』 『そしたら?』 『そしたら 急に体調が悪くなって…申し訳ないの一点張りで…』 『まぁ… 体調が悪くなることは誰にでもあるしなあ…』 貴史が困惑気味にこたえると 『ええ… だから… 他の日も、私も本来の時間よりかなり早く出勤して様子を見たんですが 残念ながら 毎回、このような状態を繰り返していまして…』 『なっ…!』 『思い返せば… これは想像に過ぎないのですが 急に辞めたいと言ってきた若い子の中には 毎回のように 店長の次の日にオープンスタッフとしてシフトに入れられていた子もいまして… どうしたものかと…』
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