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「にしても恋、お前ほんと変わってんな」
「え?」
バナナを食べながら先輩が呟く。
「俺告白されたことないんだよね。彼女いたことも」
へ、それは意外だ。かっこいいのに。
「そうなんですか」
「あ、敬語やめね? 付き合ってんだし」
「了解! やめる!」
はは、と笑い頭の後ろで腕を組む先輩。
「俺のこと好きになる女子がいるなんて思わなかったわ。しかも可愛い子」
「やだぁ照れる! 先輩の変態!」
「えぇ!?」
「嘘。冗談。上野ジョーク」
「なんだよそれ」
「ヒィハハハハ」
「笑い声終わってるぞ......」
漫才を繰り広げながら階段を降りる。
「このあとどうする?」
バナナのゴミを窓から投げ捨て、先輩がこっちを見る。
「どうとは?」
「もう帰る? それともどっか行く?」
「あーどうしよう。特に予定はないけど」
「カラオケでも行くか」
「ナイスアイデア!」
先輩は歌が上手い。動画投稿サイトにオリジナルの曲を投稿したりしていて、歌声がかっこよくて、それも彼を好きな理由のひとつだった。
「君が代でも歌うか」
「選曲で草。カラオケにあるかな?」
「知らね」
「適当すぎる」
「おう、それな。きーみーがぁ~よぉは~(良い声)」
「あはは」
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