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「皆さんも周知のように、現在人類はAI達の反乱により未曾有の危機に晒されています。皆さんの中にも機械兵によって親類を奪われた方が多いのではないでしょうか」
――おにいちゃん!
脳裏に、閃光のように過ぎる光景があった。手を振り駆ける幼い妹の笑顔。それを温かく見守る優しい両親の姿。
全て奪われた。突如始まった、AIによる人間狩り。AIが自ら生み出した機械の兵団が町を襲った。訳も分からぬままに蹂躙され、生き残ったのは己ただ一人。
戦災孤児として同じような子供達の集まる施設に送られ、無力感に苛まれる日々の中――私は決意した。
「仇を討つのです」
画面の男が熱弁を振るう。その言葉に、私の、あるいはこの会場内の皆の心情が共振した。
「AIに立ち向かい、一矢報いてやるのです。その為の力を我々が授けましょう」
正に渡りに船。家族の仇を討つ。AIに復讐する。戦争を終わらせるでも平和を取り戻すでもいい。とにかく、私は闘う。兵士となるのだ。その為だけに、これまで生きてきた。
会場内の熱気が上がる。昂揚が最高潮に達した――その時だった。
「ぐゎばッ」
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