1-1 追憶

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 小柄な男性が、長髪の女性の腕に噛み付いている。その形相は明らかに常軌を逸していた。焦点の定まらない瞳は血のように赤く染まり、露出した肌には異様に突出した血管が浮いている。そして、深々と肉に食い込む鋭い牙。その姿は、まるで――。 「永年の苦境に立たされ、我々は考えました。人間は、人間のままでは決して機械には敵わない。奴等に対抗するには、もっと強大な力を得る必要があるのです。強大な……人智を超えた存在になる必要が」  ――化け物だ。
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