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1-4 爆弾
唖然と見守る内に、鋭利な凶器となった金髪の腕が鳶色弟の胸元目掛けて繰り出された。
「待て!」
叫んだのは、私だった。しかし、それでどうにかなる訳でもない。ドリルの尖端はあっさりと鳶色弟の胸に吸い込まれていく。――直後、その身体が弾け飛んだ。
何が起きたのか分からなかった。文字通り爆ぜたのだ。丁度穿たれた鳶色弟の胸の辺りから縦横に亀裂が走り、バラバラになった上半身の肉片が周囲へと降り注ぐ。
辛うじてその場に留まった下半身も、遅れてどさりと膝を折って頽れた。
凄惨な現場の中、金髪は笑っていた。どこか恍惚とした愉悦の表情で、口元に掛かった血液を舌で舐め取る。鋼に変じていた腕は、その後何事も無かったかのように元通り生身の腕に戻っていった。
そうして、反対の手で掴んだままだった鳶色弟の頭――最早、生首と化しているそれを、ゴミでも捨てるみたいに無造作に放り投げたのだ。
「あ……あぁっ、あっ!!」
茫然自失の体で固まっていた兄の方は、それを見てハッとしたように生首の元へ駆け出した。弟のものらしき名前を繰り返し呼びながら、地に落ちた生首の前に膝を着く。
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