1-4 爆弾

2/6

16人が本棚に入れています
本棚に追加
/193ページ
 慟哭が上がった。金属の壁面に反響し、増幅する。それは、聴く者の耳と心を責め立てるような、深い嘆きの叫びだった。 「なんてことを……」  思わず漏らした私の嘆息を拾い、金髪が不機嫌そうに片眉を上げてこちらを見た。 「あ? 何か文句あんのかよ」  吊り上がった赤眼にギラリと危険な光が浮かぶ。気の弱い人なら竦み上がりそうな威圧感があった。 「バケモン放置しといたら危なくなんのはこっちだろうが。セートーボーエーだっつーの」 「だとしても、もう少しやりようがあっただろう。拘束するとか」 「甘いこと言ってんじゃねえよ。んなヨユーがあるかよ」 「しかし、何も血縁者の前で、あんな……」  生首を抱えて泣き喚く鳶色頭にちらと視線を投じてから、私はやるせない気持ちで目を逸らした。 「……残酷な」 「あぁ? 言っとくが、ぶっ飛んだのはオレのせいじゃねーぞ。なんか知んねーけど、胸ぶっ刺すとバクハツすんだよコイツら」 「何?」 「――爆弾」  不意に、白銀の青年が呟いた。私と金髪が同時に彼の方を見る。彼は思慮深げに目を伏せながら述べた。
/193ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加