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「〝食人鬼〟の弱点は心臓だって言ってたよね。〝吸血鬼〟も同じなのかもしれない。理性があるからといって、従順であるとは限らない。増してや、こんな目に遭わされた相手に反発心を抱かない訳がない。それを従わせるには、向こうが優位に事を運ぶ為の切り札が必要だ。例えば、そう――スイッチ一つで弱点の心臓を破壊出来るような爆弾を胸に仕込んでおく、とかね」
最後にトン、と己の胸元を人差し指で示し、彼は小首を傾げてこちらを窺った。私と金髪は絶句した。
「なっ!」
――私達の胸に、爆弾が仕込まれている?
「そんな……」
「まぁ、憶測だけど。仕掛けたのは、薬を盛ったのと同じタイミングだろうね」
「だが、そんな痕跡は」
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