1-5 祝福

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 ――〝吸血鬼〟としての力?  脳裏に浮かんだのは、金髪の腕の形状変化と鳶色兄の青い炎の件だった。そういえば、〝吸血鬼〟は特殊な固有能力を持つと男は言っていた。  一つ、謎が解けたが――。 「そんな理由で……」  それだけの為に、私達はあんな地獄に放り込まれたというのか。  怒りを通り越して、愕然とした。そこへ、金髪が苦々しく吐き捨てる。 「けっ、大体オレは兵士だってどうでも良かったんだ。腹いっぱいメシが食えるって聞いたから付いてきただけだっつーのに、こんなの聞いてねえよ」 「おや、そういうことでしたらフランス料理でもイタリア料理でも何でもお好きなだけご用意致しますよ。〝吸血鬼〟の主食は血液ですが、通常のお食事も嗜好品としてはお摂りになれますので。他にも暮らしに必要な日用品などご入用なものがございましたら、皆さん何なりとお申し付けくださいませ」 「な、何だよ急に。気持ちわりーな」  予想外に丁重な返答に、金髪が鼻白んだ。白衣の男は得意げだ。
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