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「すいません。全然考えてなかったんで、俺は何も」
「ああ、それはいい。気にしないで」
「でも……どうしてですか?」
しかも、こんな高いやつ。
奏人さんは言いたくなさそうだったけれど、俺が黙って言葉を待っていると根負けしたように口を開く。
「かくれんぼ、きみに悪いことしたと思って」
「……へ?」
「だから……当初の予定なら、あちらと混合のチーム分けだっただろう?それだったら、きみだけ負けてああやって目立つことは無かっただろうから」
「……いや、混ぜたところで俺と一穂さんと霖之助君は負けてた気がしますけど」
奏人さんは笑って言った。
「まあ、確かにね。企画としては盛り上がって良かったけど、でも、きみは嫌だったろう?笑いが取れればいいってタイプじゃないし」
「それは……まあ……」
「だから、僕が余計な口出しをして企画を変えさせたお詫びだよ。そういうことだからお返しは気にしなくていい」
「……ありがとうございます」
「それじゃ、遅くに邪魔したね」
「あ、ちょっと待ってください!」
行こうとする奏人さんを引き留めて、俺は言った。
「あの、良かったら、俺ひとりで食べるんじゃ勿体ないんで一緒に食べませんか?チョコレート」
「え……?」
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