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運を磨くってどうすりゃいいんだよ。
溜息つきながら着替えていると、部屋のドアがノックされた。
「はい」
「僕だけど、ちょっといいかい」
「……はい!」
急いでドアを開けると、奏人さんが一瞬置いて苦笑いする。
「きみ、着替え途中なら、着終わってからでいいのに」
「あ」
声聞いて無条件に走ったせいで、スウェットの袖は通したけど腹が出てて、慌てて裾引いて直す。
「失礼しました。……で、なんすか」
まさか、この人までわざわざ配信見たってからかいに来たんじゃないだろうな。
「遅くに悪いね。これ」
差し出されたのは紙袋二つ。
「こっちは、前に共演した時に僕のを使って、きみがいいと言ってたクレンジング。こっちは……」
「え。ちょっと待って。あのすごい高いやつですか?」
たまたま自分のを切らしてた時に一回借りたら、全然使い心地が違ってびっくりしたんだけど。
値段もいいから、その後自分で買うまでは至らなかったものだ。
「香りもいいってすごく気に入ってただろう?それから、こっちはチョコレート。この間、稽古場で頂いたら美味しかったから」
「あ……ありがとうございます」
受け取って、しばらくしてから気づいた。
「あの、もしかして……クリスマスプレゼント、とか……?」
「まあ……そういうことでいいよ」
なぜか奏人さんは言葉を濁す。
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