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保身
メアリーは風呂上がり、体重計に乗ったあと、夫に告げた。
「あなたあ」
「ん。どうしたハニー」
「体重計あるでしょ。コンピューター付き体重計」
「うん」
「故障してるらしいのよ」
「え。なぜ」
「ここ半月、毎日乗るたびに1キロずつ増えていくのよ」
「ここ半月かーー。ドーナツショップがオープンしてからだな」
「そうなのよ。でね、いま計ったら、今日も昨日より1キロ増えてて」
「うん」
「102キロですって。完全にイカれてるわ」
「……」
「あんなの捨てるわ。あんなオンボロ役立たず。スクラップ工場で滅茶苦茶に壊れちゃえばいいのよ。メタクソ、ズタボロになっちゃえばいいわ。いい気味よ」
夫は部屋の隅の体重計を眺めた。
「……」
翌日。
「あなたあ」
「ん」
「体重計、正常に戻ったらしいわ。捨てなくていいみたい。
さっき計ったら37キロですって」
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