01

1/1
前へ
/1ページ
次へ

01

「血をくれ」  学校への登校中、突然女の子が倒れていると思ったら吸血鬼らしい。 「嫌です」 「じみーに痛い、壁で小指を打つ魔法をかけるぞ」  凄く、じみーで嫌なことを言いやがる。 「血を上げたらなんかご褒美くれるわけ?」 「そーだなデートしてやろうか?」  ドヤ顔で言ってくる。 「結構です。帰りますね」 「待って、待って、嘘!」 「好きな女はいるか?」 「いますけど…何かするつもりですか?」 「その子と付き合えるキューピッドになってやろう!」  凄く嘘くさい。この子を助ける必要あるか?  でも、面白そうだし、いちよう助けてみるか…。 「どうぞ」  手を差し出す。 「カプッ」  あれ?痛くはないな。こんなもんなのか。  俺は何故か冷静に考えてた。そもそもなんで吸血鬼がいるんだ?とか色々考えるべきところはあるはずなのに。   「ありがとう」 「どういたしまして」 「私は吸血鬼の寧々だ」 「あ、空です」 「さて本題だが、好きな女の子はどんな子だ?」 「幼馴染の子なんです」 「ふむ」 「あ、あの子!不知火って言うんです」  影に隠れる 「じゃあ挨拶してみよう」 「えっ!魔法とか出してくれるんじゃないんですか⁉︎」 「そんなものはない!」  助けなければよかったかも知れない。すこーし、ほんの少しだけ思った。 「お、おはよ」 「どうしたの?急に」  ですよねー。変ですよね。 「そのままデートに誘え」  口パクで吸血鬼が言ってくる。 「どーしたの?無言で」 「いやー今日は天気がいいなーと思って」 「え、うん」 「こんな時はどこかへ一緒に出かけないかなーと思って」 「え、いや、今から学校だよね?」  そーですね。そーでした。  逃げる空。 「全然上手く行かないから!」 「情けないなー」 「お前のせいだろ!」  あれ?なんか周りが白い目で見てくるなー。 「ちなみに私はお前にしか見えてないぞ?」 「先に言ってくれ!」    学校に着く。 「学校終わったらデートしようなら大丈夫じゃないか?」 「デート、デートって難しいこと言わないでください」 「じゃあ一緒に昼食食べよ?とか何かあるだろう!」 「ハードル高いなー」 「ねぇ」  不知火が声をかけてくる。 「し、不知火⁉︎」 「今日の空、変だよ?なんか憑いてるし」  指を刺してくる。 「ん⁉︎見えるのか?不知火」 「ほぅ。不知火、空とデートして」  口を塞ぐ。 「何変なことを!」 「デート?」 「ち、違うよ!で…そう、ムカデがいるって」 「何それ?」  本当何それだよ…思いついたワードがムカデなんて…。 「デートして欲しいの?」  可愛く首を傾げる不知火。 「えっ…えっと…」 「ほら、早く答えんと!」  吸血鬼が急かす。 「いいよ」  上目遣いで不知火が答える。 「今日の放課後待ち合わせね」 「これは上手くいったな!」  自慢げな吸血鬼。 「お前、何もしてないだろ」 「でも、デートができることになった!これは私のおかげでもある!」  凄い満足そうな顔。なんかムカつく。 「で、プランはどーする」 「なんで吸血鬼の方がはしゃいでるんですか?」 「ワクワクするだろう」  浮いた状態で跳ねる。 「邪魔だけはしないで下さいね」 「わかっとる♪」    放課後   「不知火!」 「あっ、空ー。何処に行く?」 「ベタだけど…遊園地に行かない?」 「私、ジェットコースターは無理だよ?」 「それ以外に乗ろうっか!」 「うん!」 「ええのー青春って感じで!」  吸血鬼が入ってくるので、とりあえず蹴り飛ばしといた。 「あれ、いいの?」 「いいから気にしなくって!」  遊園地に着く。 「まずは食事する?」 「うん。そーしよう!」  食事タイム 「ここのハンバーガー美味しいね」 「うん。美味しい」  多分このハンバーガーが美味しいのではなくて不知火と食べるからだと思う…いや、恥ずかしくて言えないけど! 「?」 「次は何処行きたい?」 「えー。お化け屋敷とか?」 「怖いのは平気なの…?」 「うん」 「ぎゃああああ」  走って逃げる空。 「ビビりすぎじゃない?空、待ってよー」 「無理無理っ」  全然カッコつかない…。 「ビビりじゃのー」 「ねー吸血鬼さん」   「はぁ…」  息切れをする空。    最後こそはビシッと決めたい!     「ねぇ!最後はやっぱり、ベタだけど…観覧車乗りたいんだけど!」 「うん。いいよ?」  観覧車に乗り、一番上まで上がる。 「不知火」 「何?」 「俺と付き合ってくれない?」  やっと言えた!心でガッツポーズを取る。 「うん。そろそろいってくれるかな?って待ってたよ」 「やったー成就じゃ!」  わーいと一人盛り上がる吸血鬼。 「うるさい」 「これで私は役目を果たした!」  何もしてないだろ… 「明日もまた血をもらいに来つつ、お前の恋愛模様をみるとするか」  笑顔でうなづく吸血鬼。 「もう二度とくんな」  とりあえず、もう一度蹴り飛ばしておいた。
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加