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不幸ヤンキー、”狼”に定められる。【1】
ある男は仕事をほったらかしてスマホを見ていた。内容としては週刊誌関係の物ばかりである。
―ただその男はゴシップ記事に写されている少女…囲戸 心の特集ネタを見て笑っているのだ。男の服装としては高級スーツを身に纏ってはいるのだが、高級スーツには似つかわしくない派手な金髪を後ろに束ねた容姿だ。そんな男はコーヒーを飲んでから再びいやらしく笑う。
「世間に”狼”という存在を位置づけた少女…しかも今は能力が無くなってただの嬢ちゃんに…か」
だがもう一口コーヒーを飲んだ途端、彼は空を見上げてまた笑うのだ。そして自分このように呟くのだ。
「いいやちゃうな? …ワイはそれに賛成せんわ」
すると男はゴシップ記事を拡大しとある部分を見つめる。見つめた先には心がまだ能力がまだある頃に撮られた写真ではあるが、服の胸元からネックレスのような物が見受けられた。
「やっぱりなぁ~、コレやコレ。コレしかあらへんのや」
その存在に気づいた男は立ち上がり誰も居ない広い社長室から景色を眺める。自身が築き上げた財力の景色を目の当たりにしては彼は息を吐くように自身の見解を述べるのだ。
「嬢ちゃんは能力をわざと抑えていたんや。なんでかは検討はつかん。…まぁ保険っちゅう可能性があったんかもしれんしな。…そこは本人に聞いてみるさかい。…このテーマパークに来てもらってな?」
男の見つめる先には、彼が仕上げたテーマパークという名の財産であった。この男…いや、数珠 玉緒は再びデスクワークに座り込み、机にしまってある物を取り出そうとした。そして取り出す為の暗号キーと一緒に鍵を懐から出してから箱を開けて…玉緒はいやらしく笑う。…そこにはたくさんのシルバーアクセサリーが陳列されていた。
「自分の見解は間違っていない」というようなアクセサリーからの聞こえもしない声に耳を傾けて満足をする玉緒は再びスマホに目をやる。
―そのゴシップ記事にはとある人物達も映し出されていたのである。1人は脇腹に自身と同じ”狼”を入れている男性、そしてもう1人の長い髪を束ねた青年が2人居る。その人物たちに玉緒は首を傾げてから納得がいったような顔をしたのだ。
「ああ、場磁石に…そこの鋭い目つきのにぃちゃんは興味あんな。…特別に招待したる」
―この王宮に…な?
すると玉緒はスマホを放り出してから仕事を再開した。…自分の武器が増えることへ幸福感を抱きながら。
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