不幸ヤンキー、”狼”に奪われる。【3】

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「なぁっ!?? なにが、あったん……や?」  戸惑いを見せる玉緒ではあるが一瞬何かを考えた。すると息切れをしている2人を見てしたたかに笑うのだ。 「あぁ、そういうことか……。あかんわ~。あの嬢ちゃんのホンマもんの力を見たことが無かったさかい。この2人が呪いで、ワイの”ハートイータ”で苦しませても、あの嬢ちゃんの前では払拭させてしまうんやなぁ~」  なにが何だが分からない言葉を紡ぐ玉緒に、能力が弱まったおかげで哉太は少し口が聞けるようになった。  ――だがフライは気絶をしている様子である。 「さすがは”一匹狼(ロンリーウルフ)”に近い男や。呪いに克服しつつあんな~。……そこの白髪のおチビさんは軽く気絶しつつあるけど?」  すると哉太はドスの低い声で、今まで聞いた事の無い声で問い掛ける。 「おい、どういうことだ。ヤンキー被りクソしゃちょーさんよぉ?」 「なにけったいな声出してんねん。おかしいな~、ワイの能力も弱くなってしもうたか~」 「……こころの力って、どういう、ことだ」  根性で呪いを反発させて克服しようとしつつある哉太ではあるが、玉緒は想定内といった様子で鼻で笑っている。しかし忘れられているが、ここはテーマパーク。人通りだってかなり多い。いきなり男が倒れたかと思えば骸骨(がいこつ)達が青年を捕えられている姿を見て戸惑う人たちも多いのは当たり前だ。  ――そんな周囲の賑わいに混じり玉緒は小指に嵌められた黒いダイヤに力を込めて術を唱えた。 「異空間へと繋げ。ハッ!」  すると哉太やフライ、そして骸骨に捕らわれているスピードに術を唱えた張本人の玉緒は消え去ってしまった。
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