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『心、お前の本当の力はテレパシーだ。でもね、それだけじゃないんだよ?』
幼き日の思い出。お父さんと能力を特訓して私の能力が、本当の能力がテレパシーだと分かった。お父さんにとっては使い勝手の悪い、ただ心を読むだけのことしか出来ない、なにも役に立たない私の能力。
――でも、それでもお父さんは必要としてくれた。お母さんの形見のシルバーのネックレスを私にくれて。それで言ってくれたんだ。
『テレパシーは心と心を繋ぐだけじゃない。読むだけでもない。なんだと思う?』
『……分からない。私は心の声しか、音や匂いや大きさしか分からないよ』
するとお父さんは私の言葉で何かを思ったのか。すぐに私にお母さんの形見に力を注ぎ込むように言ってきたのだ。どうしてなのかを聞いたら…お父さんは私の頭を撫でて言ったの。
『テレパシーはな。その人の想いを繋げられる。でもその力は心だけの力では叶えられない』
『どういうこと?』
『いつかきっと、分かる日が来るから』
それでお父さんは私を抱き締めてくれた。お父さんの手は穢れてしまっていただろうけれど、私もそうだから。同じだったから、私もお父さんをぎゅっと抱き締めたのだ。
(お父さん。私、分かったよ。テレパシーの本当の意味が。想いを伝えさせるのがどれほどの力を、人々の力を借りないといけないのか。……大変だけれど。でも私は)
――幸君やみんなを守るために、戦うよ。……お父さん。
飛ばされた先で幸が困惑している中で心は、自分の”心”と向き合うのであった。
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