不幸ヤンキー、”狼”に奪われる。【4】

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「……翼よ、我の手足となり空を駆け、愛しき者を救え」  ――ドクンッ!  すると背中が急に熱を帯び幸は困惑をした。失敗でもしてしまったのだろうか。心配になっている幸は、手を水平に保ち目を閉じている彼女へ呼びかける。恐らくは幸とシルバーとの間でなにかをしているのだというのは何となくではあるが分かった気がした。しかし背中が急に熱さを感じたかと思えば、重みを増していく感覚を得たのだ。どうなっているのかが知りたいが為に、幸は心へ呼びかけたのである。 「こころ、背中を見てくれないか? なんか重くて、熱くて……」 「ちょっと待って。一応、ピアスと想いの疎通をさせて上手くいった」  ――はず。  すると心は幸の姿を見た途端、言葉を失ってしまったのだ。呆然とする心に幸は戸惑い声を掛け続けると、彼女は驚きのあまり小さな声で発したのである。 「……綺麗な、翼」 「えっ?」 「幸君、綺麗だよ。哉太君が居たらこう言うかもね」  ――”天使”みたいだって。 「え?」  大きな翼を持った赤い髪の天使は、少女の口説き文句に疑問を抱いた。
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