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「なんか掴めたかな? というかごめん。急に止まって……」
すると心は首を横に振り幸に軽く微笑む。
「ううん。全然! 急じゃないよ。こっちも気を遣わせてごめんなさい」
将来は美人になるであろう少女の笑顔をしかと見てしまったからか、幸は顔を少し赤らめた。いや、もしくは礼をされたことや気遣われたことも嬉しかったのかもしれない。
「いやいや! 俺は、別に……!」
「ううん。嬉しかったよ?」
――ズキューン!!!
以前までは人形のようだと気味悪がっていた彼女が、まるで天使のように見えてしまう幸は彼女に射止められてしまった。そんな彼は以前から隠し持っていた”天邪鬼”を発動させてしまう。それほど心も変わったということなのだろう。
「まぁ、嫁に行く前の女の子に怪我させたく無かったし? 傷モノにしたくも無かったし? 俺のせいで、その、心を傷つけたら……」
恥ずかしそうに身体を捩じらせる天邪鬼な赤い天使に、心は軽やかに笑ってから幸に礼を告げる。「配慮してくれてありがとう」と。可愛らしく礼儀正しい少女に礼を言われた天使は顔を赤くさせて素直に受け止めた。
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