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だから吠え掛かっていても玉緒は余裕な態度で最強の”狼”を侮蔑し嘲笑出来るのだ。悔しいがなぜそれが出来るのかは今の哉太には分からない。
「俺の命なんてどうでもいい。だから2人から、幸から手を引け」
それが切なる哉太の望みであった。しかしこの男には通用などしないのだ。
「それは出来ひん願いやな。ワイの”リングスワン”で異空間に飛ばされて、能力を使えなくて、しかもワイが兄さんに殺されんようにしっ~かりと極太のロープで結わえているあんたになにが言える?」
黒いダイヤの指輪を輝かせてにたりと笑う玉緒に哉太は普段よりもかなり口が悪い。
「てめぇ、俺が意識が飛んでいたからっていい気になってんじゃねぇよ。金髪のクズ野郎」
額に青筋を立て力ずくで縄を解こうとする。だがやはり哉太でも解けないほどの太いロープなので舌打ちをした。そんな哉太の姿を見て愉快に笑う玉緒は哉太と同じく、捕えて気絶をしているフライとスピードにも汚く笑う。クツクツと笑う玉緒に哉太はブチギレていた。
――こんな惨めな思いをするのは御免だが、愛しい幸が心配でならない自分も居るのだ。
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