不幸ヤンキー、”狼”に奪われる。【7】

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 幸は飛行しながらもやけに胸騒ぎを起こした。やはり哉太達が心配だからというのもあるがそれだけでは無い気がするのだ。  …哉太さんが、哉太さんが心配だな。  ―どうしてこんなにも?  するとたちまち大きく羽ばたく両翼は力強さを失ったかのように急降下していく。どうしたものかと心は幸の顔を見れば幸は顔を青白くさせていた。そんな彼に心は心配をするのだ。 「やっぱり…みんなのこと、心配だよね」 「…あぁ」 「想いが伝わるから分かるよ…」 「ごめんな…。なんか、急に力が入らなくなって…」 「大丈夫だから、気にしないで?」  しかし幼い少女だって自分と気持ちは同じだ。だから幸は奮起するように自身へ喝を入れるのだ。 「よしっ! ここでバテちゃ男が(すた)るな。しっかりしないとな!」  そして翼を広げて花の庭を目指し飛行する幸へ、心は少し微笑んだ。  …みんなのこと、やっぱり心配なんだね。でも…。  ―ムマって人の人格も、あるからな。ちゃんとそこにも気を配らないと。 「…心も平気か?」  不意打ちをされたように幸へ尋ねられたので少々驚いたものの、心は首を縦に頷く。すると今度は心が話を逸らすように仕向けたのだ。 「幸君だって、哉太君のことが心配なんでしょ?」 「…やっぱり、分かっていたか…。それも能力か?」 「そんなの、普段から2人がしてるのを見れば分かるもん」 「なぁっ!??」
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