不幸ヤンキー、”狼”に奪われる。【終】

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『ほぉ~、さすがや!!!』 「…あなたは?」 『膨大な力が伝わっていたさかい。…ワイにも届いてしもうた』  なんと敵である玉緒にも気が付かれてしまったようだ。しかし聞こえてくるのは玉緒の声だけで哉太を含めた3人の声が聞こえない。だから心は彼に問い詰めるのだ。 「…どうしてお前の声しか聞こえないっ!!!」  急に声を荒げて剣幕を立てた心にテレパシーが伝わらない幸は驚く。そして声を掛けようとするが彼女はそれでも彼…いや。敵である玉緒との交信を続けた。声を荒げている彼女に玉緒はクツクツと嫌な笑い方をして言い張るのだ。 『そんなけったいな声出さんでも~! …でっかい観覧車があったやろ。そこから見えたホテル…観覧車に近いホテルや。…そこの中に入ってエレベーターで最上階に上がったところに…お探しの方らは居るで?』  敵の方から情報を提供され心は警戒し、心情を探るが嘘ではなさそうだ。だから荒げている自分を抑え、次の質問をした。 「…彼らの無事は?」  すると玉緒は卑屈な笑い方をした。その人を侮蔑するような笑い方に心は苛立ちを見せた。
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