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『安心せぃ、殺すほどワイは度胸は無い。…まっ、倒れるまで躍らせはしたな~。…おもろかったで?』
そして今度は高らかに笑い声をあげた玉緒の”テレパシー”をわざと切る。場所は分かった。ここから遠くもない。…だが哉太たちが無事ではないという悲惨な状況を知ってしまった。
…哉太君達が、アイツのせいでひどい目に遭ったんだ。…許せない。
「…心、大丈夫か?」
「幸君…」
「…やっぱり、哉太さん達は無事では無いんだな」
顔をしかめている心を幸は気遣うと、彼女は意を決するように胸にぶら下がっている形見のネックレスを自分の首から外してしまった。
「…心?」
―彼女が小声で「さよなら」と別れを告げていた気がする。どうしたものかと思った幸に心は意を決するように決意表明をしたのだ。
「…私、自分のアクセサリーを渡す」
「えっ、どうして?」
「私の力じゃ…この能力は、人を救えない。だからあの人に渡す」
しかしそんな彼女に幸は遮るように声を掛ける。…彼女の亡き母の形見をこんな形で敵に渡すのは酷だと考えたから。
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