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「そんなっ、そんなこと無い!!! 心は俺達の想いを繋げてくれたじゃん。…心はそれで本当に良いのか?」
再度訴えかけるが、可憐な少女はふわりと軽く笑った。覚悟と決意を表すような表情は、本当に彼女は小学生なのかと錯覚させてしまうほどだ。…そしてやはり、将来は儚げな美女に成長しそうだと、幸は不意に思ってしまう。
「いいの。…私は私を救ってくれた人たちを助けたい。……その為だったら、保険で残していたこの能力も要らない。…だって私は、もう”狼”じゃないから…。だからいいの。…でも」
そう言って心は幸の右手を優しく開かせて自身のネックレスを手渡す。驚く幸に心は再び笑った。
「そしたら今度は、幸君がみんなを守って。…お願い」
彼女の願いにさらに驚いた幸は少し困った顔をしてしまう。…それは、このシルバーアクセサリーは心と心の母親が想いを注ぎ込んだ物だから。それでも彼女は受け取って欲しいらしい。そんな彼女に幸は困惑を吐露したのだ。
「俺でも、出来るのか? 心の想いが込められたアクセサリーなのに?」
すると心も少し考え込んではこのような言葉を掛けた。
「私が力を送り込むから多分平気…かな。私が幸君を想えば良いから」
「う~む。いまいちこのアクセサリーの仕組みはよく分からん」
「あはは」
軽く笑う心に強さを魅せられた気がした。だから幸も、彼女の想いを繋げられるように自身も軽く笑って頷くのだ。
「…じゃあ、みんなを助けられるように頑張ろう」
「うん…!」
手渡されたネックレスを幸は手に取って確かめるように見ては、彼女との誓いを立てようとした…その瞬間であった。
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