続・仁義なき野球拳

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 現在、娘はズボンとパンツの2枚。オレはシャツとズボンとパンツに靴下の4ないし5枚。確実に勝てるな。 「いくぞ、さーいしょはグー、じゃーんけーんポン」 今度は波瀾の勝ち。オレはシャツを脱ぐ。ちょっと肌寒いな、風邪をひかせたくないから早めに勝負をつけるか。 「さーいしょはグー、じゃーんけーんポン」 今度はオレの勝ち。波瀾はパンツのみ。フフンだ。 ──客観視したら3歳の幼女を脱がせて喜んでる変態みたいだな── そんな事を考えていた時だった。 「ボクもやる!」 なんと弟の万丈が参戦してきたのだ。 「おねえちゃんの味方するー、パパ対ボクたち」 え? そんなのあり? 万丈は波瀾とちがって上着とシャツとズボンとパンツ、それに靴下まで履いてる。5ないし6枚追加だと。3対6じゃん。 「ちょっと待て、今からなんてズルいぞ」 「パパは大人だからいいじゃん、いくよ、さーいしょはぐー」 くっ、おそるべし子ども理論。あわてて応戦するが負けてしまった。 しぶしぶズボンを脱いでパンツと靴下の姿になると、ツボに入ったのかふたりともはしゃぎながら笑いだす。 「もう風邪ひくといけないからヤメてお風呂に入るぞ」 大人理論で強制終了させようとしたが、通じなかった。 「「さーいしょはぐー、じゃーんけーんぽん」」 声をそろえてふたりとも手をだす。グーチョキパーが揃ってあいこ。 「「じゃーんけーんぽん」」 またもあいこ 「「じゃーんけーんぽん」」 ふたたびあいこ 「「じゃーんけーんぽん」」 当然あいこ 3人でやれば勝負がつかないってば。早くしないと波瀾が風邪をひいてしまう。 「あんた達、何やってんの。そんな格好してたら風邪をひくでしょ、さっさとお風呂に入りなさい!!」 家事を終えた妻のカミナリが落ち、野球拳は強制終了。やれやれ助かった。 くしょん、と可愛らしいクシャミをした波瀾を抱き上げ、万丈の手をとってお風呂へと向かうのだった。 ーー 了 ーー
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