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 マコが死んだ時より、五年程若いはずだ。目尻がピンと上向き、肌はシワひとつない。記憶はもう少し近年の分まで残してあるが、若さは間宮の中で大事な要素だった。マコの容姿に一目惚れして始まった関係なのだから、そこはやり直すためには必要不可欠な点だ。 「とにかく、俺の寿命が尽きるその日まで、君とはまた夫婦としてやっていくんだ。喧嘩はしたくない。──俺はまだ起きていることに慣れてないから休む」 「そう。ごゆっくり」 「まだ全部は読み込めてないんだろ? ヘソを曲げずに機嫌よく待っててくれ」  やっとリスタートできると心躍らせていたのに、こんなのは計画外だ。間宮は自室へと向かって歩き出した。 「あ、ねぇ」  呼び止めるマコに、白目を向いてから振り返った。せっかく気持ちを切り替えようとしているのに呼び止めるなんて、やることが昔のマコのままではないか。 「生き返らせてくれてありがとう。嬉しかったわ」  思わぬ感謝の言葉に、面食らっていた。前だったら終わらない口論、止まらない愚痴だったはずだ。単純なもので、こんなことで機嫌が上向いて、間宮は広角を上げた。 「それだよ。俺が求めていたのは。良かった。これで安心して眠れるよ。目覚めるのが楽しみだ」  間宮の性格は山の天気のようだと親からも言われていた。その通り、怒ったと思った次の瞬間、快晴の空の如くスッキリした表情で部屋を出ていった。 「『俺が求めていた』ね……」  部屋を出ていく際、マコの口から間宮の声でそのまま再生されたことを、間宮は気がつくこともなかった。
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