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「あの日、皆んなでコックリさんしたの覚えてる?
守君と理恵ちゃんが一緒に5円玉を持って僕を呼んだよね。
コックリさん、コックリさんいらっしゃるなら出て来て下さいって!
だから、僕は現れたんだよ。
いっぱい遊んでくれてありがとう。
あの時、守君、僕に聞いたよね。
理恵ちゃんの好きな人は誰ですか?って!
あれ、本当は守君だったんだ。
でも、僕は自力で《私です!》って五円玉を動かしたんだ。
でも、先生がやって来て、守君と理恵ちゃんは、五円玉から手を離したよね。
せっかく楽しかったのに……
もちろん、知ってたよね。
五円玉から手を離したらどうなるかって……
だから、理恵ちゃんは翌日、交通事故で亡くなったんだ。
守君と理恵ちゃん、どっちにしょうか迷ったけど、理恵ちゃんに決めたんだ。
あれほど、5円玉に手を離したら駄目ってなってるのに……」
突然、男は震えだし、着ている服を破き出した。
「わっ、あの男、急に耳が生えて来てたぞ!」
「あっ、ケツからシッポが生えてきた。」
「わっ、キツネになった……」
会場にいた皆んなは、怯えて皆んな倒れ込んでる。
そして、会場は真っ暗になった。
「コンちゃん……」
急に何処から女性の声がした。
見覚えのある声だ。
あっ、理恵ちゃんの声だ……
「コンちゃん、皆んなを怖がらせたら駄目だよ。」
「ゴメンよ……
理恵ちゃん。
だって、僕、皆んなと会いたかったんだ」
「私だって、守君や皆んなに逢いたかった。
でも、我慢してたんだよ。
私も皆んなに挨拶しようかな……」
「そうだよ、六年ぶりだもんね。
理恵ちゃん」
「うん!そうだねコンちゃん」
薄らと、理恵ちゃんの姿が浮かび上がった。
「皆んなに会いたかったよ。
でも、当時は守君の事が大好きだったのに……
守君、学校が終わって一人で神社に行ったよね。
俺を助けて下さい!って私を見捨ててね……
そして私は交通事故に遭ったんだよ。
だから私はコンちゃんの元に行ったんだからね。
でも、今は幸せだよ。
守君は名前だけだね。
守って!」
そして、二人は、ゆっくりと消えていった。
その後、誰一人、あの時の話はしないようにしている。
俺は大好きな理恵ちゃんを守れなかった……
名前負けだ…
そして、俺はキツネに負けた……
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