花束に恋文を添えて

飯テロリスト

三
　寿司テロ行為の大学生が犠牲になるいっぽうで新たな犠牲者が出た。
　「食べ物を粗末に扱う系の動画投稿者が、飯テロリストの次の犠牲者になったみたい」
交際相手が作ったケーキやおにぎりをバットで潰してみたり、踏んづけてみたりしながらケタケタ笑う投稿者の動画というのも、作ったものの気持ちや交際相手の気持ちも人間関係すら玩具としか考えていないようで花村は腹立たしかったが、ある投稿で目を疑った。カメラの前で事件は起こったのだ。突然大きな音とともにカメラがぶれ投稿者の「ぎゃああああ」という悲鳴が聞こえたかと思うと、バリバリという何かを噛み砕く音に変わる。そして黒焦げになった投稿者の頭がカメラにアップで映される。投稿中の事故だった。
　「いくらなんでも酷すぎる」
　ＳＮＳでは『されて当然の仕打ち』『屠殺されて正解！』『自業自得だ』『でもやりすぎでは』『これでは物足りない』と様々なコメントが飛び交い炎上騒ぎになっている。
　「花村さん、報告書のコピー貰って来ましたが、なんですかこれはっ！」
　如月は思わず足を止めた。
　「飯テロリストの四人目の被害者よ、投稿はまだ新しい。飯テロリストはきっと被害者宅から遠くへは行っていない。報告書見せてくれる？」
　「早岡先生によると、飯テロリストは恐らく二十、三十代の人間で食にこだわりがない人の可能性が高いと。女性にも歯ぐきの強い人も視野に入れるのを検討してほしいと言ってました」
　「だいぶ絞り込めて来たわね。捜査員たちには被害者宅の自宅の周辺２キロを警戒して貰いましょう」