俺の嫁の体質について

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俺の嫁の体質について

パーティーがお開きになった頃。 周りが騒がしくなった。 「……何事だ?」 「オークション出品予定のダイヤが盗まれたらしいぞ」 早瀬がホテル側の人間から報告を受けた。 確か、あまりいい噂を聞かない貿易会社の主催だったな…。 「会見無しで良さそうだな…」 千歳が先に帰っている部屋に早く戻りたい。 「そうだな。報道もそっちに行っているようだ。行って簡単な説明だけしてくるとするか」 早瀬が歩き出そうとしたとき、俺の携帯が鳴った。 直ぐに確認してみると、千歳からだった。 助けて 「っ!?」 心臓が止まるかと思った。 千歳に一体何が起きている?? 部屋で待っているんじゃなかったのか?? 俺は直ぐに走り出した。 「おい、サブ!?」 ただならぬ俺の様子に、後ろから早瀬がついて来る。 「千歳!!」 室内に入ると、千歳の叫び声が聞こえた。 急いで声のする方へ向かう。 そこには、乱れた服装で床に倒れ込む千歳と、その近くで倒れている男がいた。 一体何があった!? 俺は千歳に駆け寄って、その体を抱き上げた。 「千歳!?どうした、何があった??」 「……うぅ…佐藤……お尻が痛い……」 「っ!?」 この野郎!? 頭に血が登った俺は千歳を抱いたまま、男を蹴りつけた。 しかし完全にのびている男は、目覚める様子が無い。 俺は千歳を、ベッドにおろした。 「っう…」 「……千歳」 千歳は痛がって、コロンと横向きに寝転んだ。 まさか……あの男に犯されてしまったのだろうか……。 男に対する強い殺意が生まれた。 しかし、今はそれどころじゃ無い。 傷ついた千歳をフォローしなければ! 「……千歳…何があったのか話してくれるか?」 「……えっと……あの…」 千歳は、しきりに股間を気にしながら言い淀む。 心配になってちらりと項を確認したが、そこは無事だった。 良かった……。 「……その……あのね…」 「……あぁ」 俺はしゃがみこんで、横になる千歳の手を握った。 後ろで早瀬がやってきた気配がする。 男を調べているようだ。 「その人、佐藤の事が好きな人に雇われて……僕のこと番にしようとしたみたい……」 「っ!?」 何だと!? そんな…俺のせいで… もう少しで一番恐れていた事態が起きるところだったのか…。 現状からみて、挿入まではされていないと思うが……尻が痛いというのは、乱暴にいじられたのか!? それにしきりに股間を気にするのは、そっちもか…?? Ωがαに襲われて、怖かっただろう……。 胸が痛い。 しかし、どうやって千歳はあの男を撃退したんだ?? 「僕……そいつに頭突きして逃げようと思ったんだけど……」 「……あぁ」 なんて無茶をするんだ。 もし逆上して、命まで脅かされてしまったらどうする……。 俺が甘かった。 「コイツ…見たことがあるぞ。源の所の部下だ…」 早瀬が男の身ぐるみ剥がして調べている。 バタバタと他の警備もやってきた。 千歳が他の奴らの気配におびえ小さくなっている。 かわいそうに。 源か…、いつもいつも妙にアプローチをされてうざかったが、プライドが高すぎて直接何も言ってこないし、関係を持った事もないから、完全に視界に入っていなかった。 この責任をどうとってもらおうか…。 警察に届けても大した報復にならない。 「サブ、私に任せて下さい。千歳君に手を出したこと、後悔させてあげますよ。コイツを家に運んでおいて下さい」 早瀬が怪しい笑みを浮かべている。 男たちに担がれて奴が部屋から運び出される。 「……早瀬、手酷くやれよ」 「もちろん。私は、源を捕まえに行ってきます」 早瀬が心底楽しそうに部屋をあとにした。 あの男も源も、おそらく今までと違った、隷属する人生になるのだろう。 だが、許しがたい。 それだけで済むと思うなよ…。 部屋に千歳と二人になった。 「あのね…佐藤……」 千歳が俺の手を掴んで、恐る恐るしゃべり始めた。 「……それでね……僕…」 「あぁ」 千歳の頭を撫でる。 俺が甘かったせいで、酷い目に遭わせてしまったが、何より無事でよかった。 千歳がもしもあの男の番になってしまっていたら…。 俺はあの男をきっと殺していただろう。 そうしたら、苦しむのは千歳だ……。 なぜこの制度は、こんなにもΩに不利なのだろう……。 千歳を大事にしたいと思って、つがいにしていなかったが……もっと早く俺のものにしておけば良かった。 千歳は俺のものだ。 「僕、パンツの中に2億円はいってるの」 「あぁ!?何だって??」 ちょっと意味が理解できなかった。 「だからー!パンツの中に2億円入ってて、怖いからとって!」 千歳が、怒って俺の手を股間に導く。 「……いや、2億って意外とかさばるぞ…」 札束ならゴワゴワのパンパンになるだろう…。札束なら…… 「泥棒が来て、パンツに入れてったんだよ」 「……おっ…おう」 混乱してるのか?? 怖い思いをして… かわいそうに… 「内緒だって、取りに来るって言ってたけど…」 とりあえず、安心させるために付き合った方が良いだろうか。 「わかった、見せてみろ」 千歳のパンツのゴムをベローっと引っ張った。 「ん!?」 「とって!佐藤、早く!」 千歳のペニスの上に、ころっと載っている指輪。 手にとって見てみる。 「はぁー、スッキリしたぁ!」 「盗まれたピンクダイヤか……」 本当に泥棒が来たのか…。 一体どうなってやがる!? 前から感じていたが、コイツはハプニング体質か!? 事件がコイツを呼んでいるのか!? 解決能力は限りなくゼロだぞ…。 あれか…俺が解決役なのか!! 「佐藤…どうしよぉ?」 千歳が半泣きで俺を見上げている。 「……大丈夫だ。任せろ」 仕方ない。 「親方、カッコイイ!」 まぁ、早々に話してくれて良かったと思おう。 それにしても。 結婚したら家に居てくれないだろうか……もはや、千歳を外で放し飼いにするのはリスクが大きいのでは……。 無理か? 最近妙に楽しそうに仕事に行くからなぁ。 とりあえず、これを何とかするか。
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