十五話 勉強、スポーツ、次は…②

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十五話 勉強、スポーツ、次は…②

「…しいていうなら……………モテたいかも。」 「は?」 突然の宣言に怪訝そうな顔をするリベルダ。 それは仕方がないことだろう。 悩みに悩み抜いてようやく思いついた願いは、 男子なら誰もが夢見る、女子との戯れだった。 「その野望…大きいに入る?」 「大きいでしょう!」 リア充の皆様方にはわからないかもしれないが 非モテで、女子からはまあまあいい扱いをされたことはない僕にとって、 モテたいはかなりの大きな野望だ。 真面目人間としてこういう願いをいうのはどうかとは思う。 でも気持ちに嘘はつけない、やっぱりどんなに考えても結局はこう言う願いを叶えたい! リベルダは宥めるように僕に声を掛ける。 「まぁ、わからんでもないけど…また随分と… 一応理由聞こうか。」 「理由も何も…スポーツできて、勉強できて、それでこんなに注目集めたんだし… そうなると次の要望はやっぱモテたいでしょ!」 「どうせそんな理由よね…健全っちゃ健全か…まぁいいわ。」 リベルダはパンパンと手を叩くと、ニッコリとした表情を浮かべる。 「ま、衣装買ってもらって願い叶えてもらわなきゃいけないし。 協力いたしましょう、それは学校内でとかの括りはない?」 「もちろん!」 「よかったぁ!ようやく学校という縛りが外れるから、 本格コスプレしてもらえる!」 ふふふと不気味に笑いながらよだれを垂らすリベルダ。 『腕がなる〜』とかなりの乗り気。 確かに、トラック片手で止めてから全身ちゃんとコスプレしたことなかったもんな。 リベルダ自身、思いっきりできる機会を待っていたのかもしれない。 「ちなみに、どの層にモテたいのよ。」 「どの層って?」 「色々あるでしょ?筋肉モリモリになってモテたいのか、何か特技に秀でてモテたいのか… 可愛い子にモテたいのかセクシーな人にちやほやされたいのか、ギャルと戯れたいのか! 目的によって作戦は変わるでしょ?」 なるほど、確かにただモテたいだけじゃ でもできるなら… 「…満遍なくモテたいです」 と、本音をぶちまけてみた。 すると、久しぶりに画面の中から何かが飛んできて頭に直撃し、その直後 「愚か者!」 とリベルダに怒られた。 毎度毎度、投げられるものはこんなに小さいのに、まあまあ痛いんだよね… ちなみに当たったのはまた靴だった。 「なんでまた物を投げるわけ?」 「二兎を追うものが何かを得られると思わないの!世の中甘くない! そんなんじゃ、社会で生きていけないよ!もっと自分の特徴とニーズを考えろい!」 わかってるよ!言ってみただけで何もそんなに怒らなくても良くない!? と、心の中で反論する。 でも確かに、何かしら作戦は立てないと かっこよくなればモテる…ってほど人生は甘くないのは確かか。 「こんなところで考え込んでも埒あかないし。 報告は十分聞いたし、この後の作戦は帰ってしよう。」 リベルダにそう言われてようやく席を立つ。 「そんな好条件のいいモテキャラ…いたかな…」 僕は家の中にある漫画を思い出しながら、教室を後にした。
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