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二十話 ステージの僕は彼。
ステージに立つと、黄色い歓声がさらに大きくなった。
多分それは、見た目はなりきれているという証拠だと思いたい。
リベルダに言われてから、毎日アニメを見返した。
歌も何回も聴いた、ダンスも何回も見た。
正樹らしさ…特徴は掴んでる。
僕はダンスはできないけど、
それは衣装にかかった魔法が助けてくれるはず。
不安は何もない!
僕はマイクを口に持っていき、歌い始める。
そして気が付いた。
今まで、ちゃんとコスプレして力を使ったのはトラックを止めたあの日だけ。
一部だけでも、魔法の効果はいつもすごかったけど…
やっぱりちゃんとしたコスプレをすると、全然違う。
普段の自分より、全然声が出るし音程も安定する。
どんなに動いても全然疲れない。
まるで、本当に自分が正樹になったみたいだった。
それは、観客たちも感じ取ってくれたんだろうか、
サビに向かうにつれてどんどん声援が大きくなっていく。
アップテンポの曲に合わせて動いてくれたり、
ペンライトを持っている人は、それを振ってくれたりもした。
だんだん調子に乗って、アニメ通りの動きをしてみたり、ポーズをとってみたりもした。
それに対しても観客の反応がすごい。
もしかしたら、これが正樹が見てた世界なのかもしれない。
あっという間な3分間。
夢中になって正樹の真似をしていたら、曲は終わっていて、観客から拍手をもらっていた。
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