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八話 レベル上げ作戦②
「リベルタ…ってイタリア語で『自由』って意味なんだってさ。」
それを聞いた妖精は、少しピクッと方を揺らす。
どうやら、本人も少し心に引っかかっていることではあるようだ。
「だ…だから何。」
「フリーも英語で『自由』だよね。
日本語に訳すと『自由・自由』よっぽど自由が好きなんだね。」
俺はさっきの仕返しをするようにケタケタと笑ってみせた。
妖精、もといリベルダは少し頬を膨らませて一瞬怒ったが、
その後すぐに冷めたような顔をして、肩をすくめると
「はっ、人の名前調べてまでいじりたいとか、ダッサ。」
と呆れたような顔で言い捨てた。
顔文字も『(・Д・)』
「なんだよ、そっちが先にいじってきたんだろ?」
なんか、やり返してやろうと思ったのに思ったような反応が一瞬で終わってしまったのが、なんか癪に触った。
「はいはい、ごめんなさいぃー、
あなたの名前ぇーわたしぃー知らなかったのでぇー勘違いしたんですぅー」
ムカつく言い方と、一緒に表記されるムカつく顔文字『(´ε` )』
リベルダの方は自分で吹っかけた喧嘩のくせに、都合が悪くなるとそうやって逃げるのはどうなんだ?
絶対反省してないし。
もう少し色々言いたかったが、
これ以上話を広げるのをやめるつもりなのか、話題を本題に戻した。
「まあ、それはそれとして…願いの方なんだけどさ
まだ決まってないならこんなのどう?
あいつら呼び出して懲らしめるの、直接でも間接的にでも、暴力的でも社会的でもいいけど、叶えようと思えば叶えられるよ!」
と、まあまあ怖い顔と顔文字『(°言°)』を表じして提案する。
いろんな方法があるよと、ワクワクしてるのか魔法で痛めつける方法や
自分も不良になって喧嘩を仕掛ける方法など提案してきた。
確かに、今までの中で考えた願いの中では一番しっくりくる願いかもしれない。
あいつらをボコボコにして、ギャフンと言わせられれば嬉しい。
だけと…
「やめとく。」
「なんで?」
「だって…仮に魔法であいつら懲らしめても
何にも意味ない気がする…」
それがなんでかわかんないけど、それで勝ったとしても
意味がないし、心からスッキリするとは思えない。
「…」
リベルダは何も言わず僕の顔をじっと見る。
その表情には、なんの感情も浮かべてはいなかった。
「何その顔」
「なんでもない」
物言いたげな様子だったけど、結局何も言わずに
目を瞑って首を横に振りながらそういうと、
「でもさ、このままなのは嫌でしょ」
「嫌」
リベルダの問いに即答で答える。
常々、いつか見返してやると思ってる。
でも、悲しい現実だけど、
筋肉のないこの体では力じゃ勝てないし、得意なスポーツもない。
見返すなんて無理だ。
その様子を見たリベルダは一つ提案をする
「せっかく願いが叶うんだし、
懲らしめるはともかく見返すくらいは良いんじゃないの?」
と提案してきた。
「見返す?」
「あんたのすごいところを見せてさ!」
「すごいところって…コスプレして?」
「そう!直接やり返すのが気に食わないなら、
コスプレして二次元キャラの力借りてでも、
あいつらをあっと言わせて、見返してやりなよ!」
そうすれば揶揄われなくなるんじゃない?
とリベルダはいうが、結局懲らしめるのと変わらない気がする…。
でも、直接やり返すわけじゃないなら…まぁいいのか?
どっちにしてもリベルダは速く外出たいだろうし、
願いも決めなきゃいけないしな。
ただ…
「そうはいうけど、どうやって」
懲らしめるわけじゃないっていうことは、直接なんかやり返すという意味ではなさそうだけど、じゃあどうやって…となると具体性が見えない。
しかし、リベルダは無策で提案をしたわけではないようで
「良い考えがあるよ、ちょっと耳貸してよ。」
ゴニョゴニョと告げられたその提案は、
至ってシンプルで、でも効果的で普通だったら難しい提案だった。
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