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2年前のあの日
学生の頃、璃子は大学で映画研究会に入っていた。
毎日、真面目に講義に出席し、サークルの映画研究会も積極的に参加する充実した学生生活を送っていた。
映研サークルでは、イベントがあると率先して手伝い、どの先輩にも可愛がられ、信頼されていた。
特に、最初に声をかけてくれた一つ上の国崎先輩には
「手伝ってほしいことがある。すぐ来い!」
と言われれば、何があっても飛んで行った。
いつからか、先輩も名指しで、璃子に手伝いを頼むようになり、傍に璃子が居るのが当たり前のようになっていたが、特別な関係ではなかった。
そして、璃子が3年生のとき、二人で学園祭の準備をしていた日、国崎先輩から突然
「俺は、今このサークルのリーダーだから、サークル仲間のけじめとして、後輩の璃子とは、今は特別な付き合いは皆の手前出来ない。俺が卒業するまで待って欲しい」
と、言われ嬉しくて何も考えずに
「はい! 待ちます」
と即答していた。
嬉しかった。きっと卒業式が終われば、私は、国崎先輩の彼女になれる。そう確信していたからだ。
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