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コカ・コーラ専門バーでのクリスマスイヴ。お洒落なバー風の喫茶店だが、取扱い飲料はコカ・コーラのみ。他の物とブレンドしてオリジナル商品として店に出している。このブレンドの調和が癖になり、今日も通う。
「サンター。このコーラ、昨日よりカラメルきつくない?」
「そんな事ないさ。創業からレシピを変えないモットーでね」
「そうかなぁ」
「それより、折角のイヴなのに1人かい?」
「イヴとは……昨日別れた……」
「そうか……あんなに仲良さそうだったのにな……ところで、新商品が出たんだ。初のアルコール飲料としてね。その名も『コカ・コーラ〜Eternity Eve〜』どうだい?」
「ありがとう。1杯頼むよ。今の気分にピッタリだから」
「了解。そのかわり、早く忘れる事だな」
「ああ。これで忘れる」
早速、サンターは目の前で仕込みにかかる。コカ・コーラにアルコールを少量入れ、禁断の果実を搾り、ゆっくりとかき混ぜて完成。永遠の前夜を匂わせる甘い香り漂うコカ・コーラの出来上がり。
そして、ゆっくりとグラスを口にした。
「お前が呑むんかいっ!」
サンターは驚き、こっちへ顔を向け、勢いよく吹き出した。今年の聖夜の贈り物は店主の口から送られた。
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