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美雪の母はちょっと問題のある人で、数年前に倉石家から勘当されている。
そのときに美雪も一緒に倉石家を出たので、祖父母や伯父家族とは疎遠になっていた。
それなのに数年振りに連絡がきたかと思うと、呉服屋の危機を救うため力を貸してほしいと泣きつかれた。
仁科家に嫁にいってほしいと頼まれたとき、もちろん全力で断った。
けれど用意周到な伯父は断られること前提で、とっておきの切り札を用意していた。
それは、美雪が仁科家に嫁ぐならば美雪の母が背負う借金のすべてを伯父が肩代わりするというもの。
えっ、借金てなに? と、美雪はこのとき初めて母に借金があると知った。
母とは高校を卒業してから十年ほど会っていなかったし、連絡も取り合っていなかった。
どこでなにをしているのかわからなかったが、まさか返済に困るほどの借金を背負っていたとは知らなかった。
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