プチ旅行(side 悠太朗)

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 * ――当日。 悠太朗と美雪が向かったのは東京から電車で一時間半ほどの場所にある観光地。 お昼過ぎに到着してからは昼食を取りつつ観光を楽しみ、午後四時過ぎには宿泊予定の旅館に向かった。 フロントでチェックインを済ませると、さっそく客室に案内される。 今晩泊まる部屋に足を踏み入れた瞬間、美雪が「わぁ」と感嘆の声を漏らした。 趣のある部屋からは自然を間近に楽しむことができる。案内してくれた仲居の話では、テラスには源泉かけ流しの露天風呂が備わっているそうだ。 すぐに温泉に入りたいという美雪の希望で、まずは大浴場のお湯につかりにいくことにした。 その後は部屋に戻り、夕食の時間までのんびりとくつろぐ。 「紅葉はさすがにまだしてないね」 客室の窓から見える木々を見て、浴衣姿の美雪が呟いた。 テラスに備わる露天風呂で美雪と一緒にお湯につかる妄想を楽しんでいた悠太朗は、ハッと意識を引き戻す。
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