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たしかに、木々はまだ緑が多い。これが全部色付くときれいだろう。
「見ごろは来月ですかね」
せっかくなら紅葉シーズンに来るのもよかったが、ふたり揃って連休を取るのは難しいだろう。
そうなると、ちょうど料亭の工事期間であるこの連休がベストだった。
「紅葉は見られなかったけど、こんなに素敵な宿に泊まれるだけでもありがたいよね」
美雪はとてもうれしそうだ。それを見て悠太朗も自然と表情が緩む。
旅館の上質なお湯につかり心も体もぽかぽかしているし、時間に追われることもなくゆっくりとくつろいでいるからだろうか。
悠太朗はふと子供の頃のことを思い出した。
「そういえばむかし、一緒に落ち葉拾いをして遊んだ子がいたんだけど。その子、たくさん集めた落ち葉で俺を埋めてきて。顔だけ出てる俺を見てケラケラ笑うからすごくムカついたのを思い出した」
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