その後……

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その後……

 *** 新しい年を迎えて、季節は二月になった。 仁しなは今日も客で満室。料理場の板前たちは忙しなく手を動かして丹精のこもった料理を作り、出来上がった品を丁寧に盛り付けていく。 それを仲居たちが各部屋に配膳するという、いつもの仁しなの風景だ。 「美雪さん、こんなところにいたのね。そこは誰かに任せて、あなたは早くこっちに来てちょうだい。鶴の間のお客様にご挨拶に伺うわよ」 そして、いつも通り美雪は瑛里に叱られている。 食事を終えた空の器を運んでいた楠木が廊下で足を滑らせて転んだのが数分前のこと。 たまたまそこを通りかかった美雪は楠木とともに廊下にこぼれてしまった食べ残しを布巾で拭いていた。 そこへ美雪を捜して瑛里がやって来たのだ。 「はい、今すぐに行きます」 すたすたと去っていく瑛里の背中に返事をして、美雪はすっと立ち上がる。そこへ別の仲居が颯爽と近付いてきた。
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