1269人が本棚に入れています
本棚に追加
/384ページ
「ここは私がやっておくから、おね……じゃなくて若女将は早く女将と一緒に行ってください」
廊下を拭ていた布巾を美雪の手から取ったのは、仲居の着物を着た繭子だ。
「ありがとう繭ちゃん。あとよろしくね」
美雪は繭子に礼を言うと、瑛里を追いかけて足早に廊下を進んだ。
繭子は年が明けてから仁しなで働くようになった。
びしばしと働かせて償わせるという悠太朗の提案に瑛里がうなずいたことで繭子は仲居として仁しなで働くことが決まった。
大学卒業後は就職せずに家事手伝いをしていた繭子だが、労働は好きらしい。
誰も予想していなかったくらいてきぱきと動くし、仕事を覚えるのもとても早い。
最初のコメントを投稿しよう!