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「美雪さん、準備できた?」
ちょうど着替えをすませたところで悠太朗が部屋に入ってきた。
美雪がくるっと振り返ると、彼女の全身を上から下まで彼がじっくりと眺める。そして、顔がとろけてしまうのではないかと思うくらいデレッと笑った。
「美雪さんめちゃくちゃきれい。その服にして正解だったね」
「そうかな。ちょっと派手じゃない?」
「主役はそのくらいでちょうどいいんだよ。さ、行こう」
悠太朗に背中を押されて美雪は部屋を出た。廊下を進み、玄関に向かうとブーツを履く。
そして悠太朗と一緒に家を出た。
「みんなもう待ってるよ」
早く行こうと悠太朗が美雪の手を取り歩き出す。
今日はこれから定休日の仁しなを使用して美雪の誕生日会が開かれる。
瑛里に、それから悠太朗の祖父、番頭の柳、楠木を始めとした仁しなの従業員たちが美雪の誕生日を祝うために集まってくれる。その中にはもちろん繭子の姿もある。
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