戸惑う女と受け入れた男

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錦鯉が泳ぐ池に掛かる石橋を渡りながら、美雪はふと視線を前に向けた。 背筋がすっと伸びた背中が目に入る。 仕立てのよいネイビーのスリーピーススーツのポケットに両手を突っ込み、長い脚を前に進めて歩く悠太朗は、その後ろ姿だけでもイケメンオーラが漂っている。 実際に正面から見ても彼はとても整った顔立ちだ。 陶器のようになめらかな肌に、艶のある黒髪から覗くくっきりとした二重の目。きりっとした眉に筋の通った高い鼻。 身長も百八十は余裕で超えているほど背が高く、ランウェイを歩くモデルのように手足が長い。 一瞬で惹きつけられてしまうほどの強い魅力を持つ悠太朗とは、実は今日が初対面ではない。
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