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三年前――美雪が働いているキッチンカーに、当時大学生だった悠太朗がお弁当を買いに来たのが最初の出会いだ。
それ以降も彼は頻繁に訪れるようになり、顔見知りになった。
悠太朗が大学を卒業してからは顔を合わせていなかったが、まさかこうしてお見合い相手として再会するとは夢にも思わなかった。
それに、あの有名な『仁しな』の跡取り息子だったとは。
言われてみると名字が同じだが、当時はそれだけで老舗料亭とつながりがあると気付けるはずがない。
「美雪さん。その着物すごく似合ってますね」
前を歩いていた悠太朗がくるんと振り返って立ち止まる。
身長百五十六センチの美雪の目線に合うように長身を屈めて顔を覗き込んでくると、目尻をくしゃりとさせて笑った。
そのかわいい笑顔に弱い美雪の胸がきゅんと高鳴る。
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