戸惑う女と受け入れた男

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「お弁当を売っているときのエプロン姿もかわいいなって思ってたけど、着物姿も雰囲気が違っていいですね。俺、見合い中ずっと美雪さんに見惚れてたんだけど気づいてた?」 悠太朗ににっこりと見つめられて美雪の頬がポッと熱くなる。 ついつい見惚れてしまうが、騙されないぞと頭を横に振った。それから唇を尖らせる。 「そういう冗談やめてよね」 「冗談じゃないって。美雪さんすごくかわいいよ」 「……」 美雪はぐっと押し黙る。 自分をかわいいと思ったことは一度もない。 二重だけれどキリッとした目元のせいで気が強そうだとよく言われてしまうし、表情が冷たいと言われたこともある。 髪型もふわふわくるくるしたものは似合わないので、中学生の頃からずっと黒髪のストレートヘア。 その髪型が余計にクールに見られてしまう原因だと思うけれど、今さらイメージチェンジできずに続けている。
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