戸惑う女と受け入れた男

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当時の彼の見た目もチャラさを助長させていたのだと思う。 金色に染めた短髪に、耳にはたくさんのピアス。服装もダボっとした、だらしのないものを好んで着ていた。 どこからどう見ても柄の悪い大学生だ。 (それなのに、ね) 美雪は悠太朗の後ろ姿を見つめる。 まさか高級老舗料亭の御曹司だったとは。 まだ少し信じられないけれど、実際にこうしてお見合いをしているわけだからその肩書きに間違いはないのだろう。 それに、今の悠太朗は大学生の頃よりもだいぶ見た目が変化している。 金髪から黒に戻した髪はワックスできっちりと整えられているし、両耳には小さな穴がいくつも残ってはいるけれど当時のような派手なピアスは着けていない。 もともとの顔立ちが整っていることもあり、スーツを着た今の彼は老舗料亭の御曹司だと言われても納得できてしまうほど、清潔感のある爽やかな男性だ。
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