嫉妬

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正直、美穂は、どうして矢部さんにそんな事を聞くのよ! と私は思っていた。 すると、「宮もっちゃんは、本宮とは、もう長いよね?」と、こちらに話を振られてしまった。 「あ、はい。もう6年になりますね」 今、また4度目のピンチが訪れていることは、言わないでおこう。 「そっか、入社当初からだもんな、長いよなあ」 「はい……」同じ部署なら皆んな知っている。同期もほとんどが知っているが…… そして、この後、絶対聞かれる!  という予感は無残にも的中してしまった。 「そろそろ結婚かな?」 ──あ〜〜今、私が最も聞きたくないワードだ。 困った顔をしていると、美穂が、 「あ〜あ、矢部さん! 今は、そういうこと聞いちゃいけないんですよ!」と言ってくれた。 「あ〜そうだよな、ごめん。つい……」 「あ、いえ……」 ついって何よ。でも、美穂の言葉には、助かった! と思った。 ──ありがとう美穂〜と目をウルウルさせて、お礼のビームを送る。 美穂の口角が一瞬上がって、ニヤッとしたのが分かった。
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