嫉妬

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その時、また入口の襖が開いて、 「お疲れ様です」と誰かが入って来た。 ──ん? えっ? 玲央だ! 来たんだ。 私の目がまん丸に見開いているのを見て、美穂と矢部さんも入口の方を見た。 「おお、本宮お疲れ〜!」と矢部さん ──矢部さん! そこは、今呼ばないでください! とは言えず、こちらを見た玲央とバッチリ目が合ってしまった。 「お、疲れ様です」と言うと、 「お疲れ〜」と……どこへ座ろうかと悩んでいる様子の玲央 すかさずハナちゃんが、「玲央く〜ん、こっちへどうぞ」と玲央の手を引っぱって連れて行った。 私達とは真逆の方の席へ また、私の目は大きく見開き、目が離せなくなっていた。 美穂が「良いの?」と言ったが、 「え、あ〜良いも何もどこに座っても良いんじゃない?」と心にも無いことを言ってしまった。 私は、明らかにハナちゃんの隣りだけはイヤだと思ってしまっていた。嫉妬心と嫌悪感。 でも、矢部さんの手前、冷静なフリをしなければ…… すると、矢部さんが、 「あの子も同期なんだよね?」と、言うと、 美穂が、 「そうですよ! 悪い子ではないんですけどね、男を取っ替え引っ換えする癖があるので」とサラッと言ってしまった。 私は、何も言えなかった。 美穂のそのストレート過ぎるところ、スッキリするけど、ちょっと怖い。
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