1.ライバルからのプロポーズ

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1.ライバルからのプロポーズ

 高3に進級した最初の実力テスト。  正に最初の腕試しとも言えるこのテストで、つまずくわけにはいかない。  大丈夫、抜かりはない。  今回こそは、いける……!! 「いざ、勝負……!!」  私はゴクリと唾を飲み込み、震える手で先生から受け取ったばかりの実力テストの個人結果表をゆっくりと裏返す。  この紙を裏返せば、今回のテストの全てがわかる。わかってしまう。  今回こそは、お願い……っ!! 「吉野(よしの)鏡花(きょうか) 総合2位」  …………終わった。 「どうして!!!!今回こそはっ!!自信あったのに!!!!」 「吉野、うるさいぞー。さっさと席に着け〜」  突然叫び出す私に何の動揺も見せない先生は、1年の時から担任だからだ。  最早恒例行事と言わんばかりに他の生徒に成績を配っている。 「――おや、また2位だったんですか」  この耳障りな皮肉の声は……! 「流石は万年2位ですね。あ、また1位でした」 「……っ!!」  サラリとした爽やかな黒髪をセンターパートで分けた、見た目「だけ」は爽やかな男が現れる。  憎たらしい程涼しい表情でピラリと私の上をいく順位を見せつける、生意気な男の名は、染井(そめい)那桜(なお)。  私の天敵中の天敵である。
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