ペンフレンド

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 空港で私は途方に暮れていた。すぐに東京行のチケットを買うべきなのは分かっている。  でも頭に浮かぶのは純ちゃんの顔だけだった。純ちゃんに慰めて欲しい。励まして欲しい。  空港を出るとタクシーに乗った。そして純ちゃんの住所を告げた。  タクシーは一軒の家の前で停まった。まだ新しい家だった。  チャイムを押すとすぐに女の人が出てきた。お母さんだろうか。私の顔を見ると大きく目を見開き口に手を当てた。 「フウちゃん……!?」  私が頷くと奥に向かって大声をあげた。 「純! フウちゃんが来てくれたわよ!」    奥でドアの開く音がした。足音が玄関に近付いてくる。 「母さんそんなわけないよ。フウちゃんはもうすぐ武道館……うわっ!」  純ちゃんが宇宙人を見るような顔で私を見た。 「嘘……本人……え?」  その戸惑う顔が可笑しくて、私は久しぶりに笑った。本当に久しぶりに笑った気がした。舞台の上でアイドルスマイルはするけど、心から笑っていたのだろうか。気が付くと涙が頬を伝っていた。 「とにかく上がって」  涙の理由を聞こうともせず、純ちゃんは私をリビングに案内してくれた。そこには車椅子に乗った女性がいた。顔は茶色や白のまだら模様だった。私は引きつりながらも笑顔を作り会釈した。女性も口元を引きつらせながら会釈した。妹だろうか。
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