ペンフレンド

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 私はお母さんと純ちゃんにお辞儀をした。そして車椅子の女性に近寄った。ずっと黙って私を見つめていた。 「お邪魔しました」  私は女性の手を取って自分の手を重ねた。その時ふわりと金木犀の香りがした。 「純……ちゃん……?」  私の問いかけに女性は目を見開き、頬をピンクに染めた。 「純ちゃんなんだね。だって金木犀の香りがするもん」  女性は私の手を強く握り、引きつった口を開き目を潤ませた。 「フウちゃん……久しぶり」 「うん、久しぶり」  私は純ちゃんを抱きしめた。そのまだらになった皮膚以外は、私が想像していた純ちゃんそのものだった。  空港までは純ちゃんと純ちゃん、のお兄さんが車で送ってくれた。道中お兄さんは真実を話してくれた。 「一昨年、家が家事になったんだ。2階で寝ていた純は気付くのに遅れて大火傷を負った。逃げる時2階の窓から飛び降りて、それから歩けなくなってしまったんだ。何度か手術もしてるけど、まだこんな状態で。上手く喋る事もできないんだ」  後部座席で私と純ちゃんは並んで座っていた。私は純ちゃんの顔を見た。皮膚の色が所々違うのは火傷のせいだったのだ。そして手術跡やケロイドも残っている。私はそっと純ちゃんの頬に触れた。 「痛い?」  純ちゃんは小さく首を横に振って微笑んだ。 「だから僕が純の代わりにテレビに出たんだ。最初は断ろうと思ったんだけど、純が出ろってきかないんだ。私の代わりにフウちゃんに会ってきてって」
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