ペンフレンド

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「冬美さん、誰だか分かりますか?」  分かるわけない。誰? 「分からなくて当然です。初対面ですからね。でも絶対に知っている人です。冬美さん、あなたは小学校の頃文通をしていましたよね?」 「はい」 「その人の名前は覚えていますか?」 「純ちゃんです」 「こちらがその純ちゃんです!」  純ちゃんと紹介された男性は照れくさそうに微笑んだ。優しそうで可愛らしくて、想像していた純ちゃんそのものだ。男だけど。 「でも純ちゃんは女の子のはず……」 「ごめんなさい!」  純ちゃんは深々と頭を下げた。 「純という、女とも男ともとれる名前で誤解させてしまいました。僕を女の子だと思い込んでたのでいつか言わなきゃと思ってました。でも手紙をやり取りして楽しくなっちゃって言えませんでした。ごめんなさい」  純ちゃんは頭を下げ続けた。 「えっと、勝手に誤解したのは私です。ごめんなさい。女の子の話題ばかり書いてつまらなかったんじゃないですか?」 「いえ、凄く楽しかったです。毎日ポストばかり見て過ごしていました。何度も読み返しました。フウちゃんと文通できたのは人生の宝物です」  「フウちゃん」。いつも純ちゃんは私をそう呼んでいた。やっぱりこの人が純ちゃんなのだ。 「私も、今でも大切にとってあります。私の宝物です」  私と純ちゃんは見つめ合い照れ笑いした。
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