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「どんな手紙だったんですか? 好きな人の事とか書いてたんですか?」
司会者が純ちゃんに話をふった。
「学校での出来事とか、好きなアニメの話とか。ああそう言えば、フウちゃんは将来アイドルになりたいって書いていました。本当にアイドルになるなんて。フウちゃん、頑張ったんだね」
純ちゃんが優しく私を見つめた。
「冬美さんは小学生の時からアイドルに憧れてたんですね。それで今夢を叶えてテレビで歌っています。どんなお気持ちですか?」
司会者が聞くと、純ちゃんは嬉しそうに答えた。
「オールシーズンは好きで良く聞いています。まさかそのメンバーの中にフウちゃんがいるとは思っていませんでした。フウちゃんと文通していた事は僕の自慢であり誇りです。これからも応援してるからね。頑張って!」
大きな拍手に包まれ、番組は終わった。夢のようなひと時だった。
「良かったよ。みんなの高感度は爆上がりだ」
マネージャーは満面の笑みで私たちを褒めてくれた。いつもは怒ってばかりのマネージャーも今日はご機嫌だ。
「ねえ、また文通するの?」
夏子が話しかけてきた。
「え? しないよ。男だし」
「そうだよね。アイドルが男と文通なんて、スキャンダルだよね」
秋菜が言った。
「メアドくらい交換すればいいのに」
春香はスマホを弄りながら言った。
「もしかして春香、初恋の彼とメアド交換したの?」
「そりゃそうよ。あんないい男になってるなんて思わなかったもん」
「消去消去! アイドルに恋愛はご法度よ!」
夏子と秋菜が春香のスマホを取り上げようとした。
「ダメー! 恋愛じゃないもん。オトモダチだもん」
「ほらほら、騒いでる暇なんてない。次の収録に行くぞ」
「はーい!」
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